広がる活躍範囲、歯科衛生士資格の魅力

健康でイキイキとした生活のために欠かせないのが歯と口腔の健康。近年では、歯・口腔の健康と全身の健康の関係も明らかになりました。そこで関心が高まっているのが歯科衛生士の存在。歯科衛生士には法律で次の3つの業務が定められており、それぞれ専門性の高い知識・技術を必要としています。

歯科衛生士の3つの業務

1.歯科予防処置
人が歯を失う原因の9割を占めるのが虫歯と歯周病。つまり、この2つを予防できれば自分の歯を一生保つことができます。歯科衛生士は、フッ化物塗布などの「薬物塗布」、歯垢や歯石などの汚れを専門的に除去する「機械的歯面清掃」などの、予防的な医療技術を施します。

2.歯科診療の補助
歯科診療というのは歯科医師を中心としたチーム医療。その中で歯科医師の診療を補助したり、歯科医師の指示を受けて診療の一部を担当したりするのが歯科衛生士の仕事です。歯科診療の補助というのは幅広く、歯科診療をスムーズに行うためには欠かせません。信頼関係にもとづいて治療していくため、歯科医師と患者さんのコミュニケーションに配慮するのも大事な仕事です。

3.歯科保健指導
虫歯や歯周病は生活習慣病です。そのため、生活習慣の改善やセルフケアを行うための専門的な支援を受け、自分で生活習慣を見直していかないといけません。歯科保健指導はどんな人にも必要なもの。中でも歯磨き指導を中心とした指導は、セルフケアのスキルを上げるための大切な仕事です。その他、寝たきりの人や要介護者に対する訪問口腔ケア、食べ方や噛み方を通した食育支援、高齢者や要介護者への摂食・嚥下機能訓練なども、新たな歯科保健指導として注目されています。

このように歯科衛生士には多くの役割があり、歯科診療所や病院以外にも活躍の場が広がっています。国家資格のため、再就職しやすいといったメリットもあります。しかし、よりスキルアップを目指すのであれば、歯科衛生士の国家資格以外の取得も目指すといいでしょう。

歯科衛生士におすすめの資格

日本歯科衛生学会「認定歯科衛生士」

公益社団法人の日本歯科衛生学会による制度が、認定歯科衛生士です。特定の分野において、高い知識とスキルを持つ、という証明になります。

認定を受けるためには、生活習慣病予防や糖尿病予防指導など、幅広く学ぶ「生涯研修制度専門研修」で単位を修める必要があります。研修だけでなく、歯科衛生士として3年以上&特定分野の業務を1年以上の経験など、さらに細かい条件が付くようです。

日本小児歯科学会「認定歯科衛生士」

一般社団法人の日本小児歯科学会による制度が、認定歯科衛生士です。名前の通り、小児歯科に関する高い知識やスキルがあるという証明になります。そのため、今後小児歯科を目指す方や、すでに小児歯科で働いている方に向いている資格です。

認定を受けるためには、日本小児歯科学会への1年以上の在籍や、5年以上の小児歯科学に関する研修・臨床の経験などの条件があります。他にも、学会に1回以上出席する必要があるとのこと。難しい試験などはなく、時間をかけて経験を積むのであれば目指しやすい資格だといえるでしょう。

日本顎咬合学会「認定歯科衛生士」

特定非営利活動法人の日本顎咬合学会による制度が、認定歯科衛生士です。顎咬合学、つまり「噛むこと」に関する口・歯・顎などの知識があるという証明になります。歯科衛生士は顎咬合学に深く関わるので、取得すればよりスキルアップを目指すことができるでしょう。

認定を受けるためには、研修に参加したり、学会に入会したりする必要があります。3名以上の推薦や学術大会への参加などの厳しい条件もあるので、より信頼される資格であるといえるでしょう。

認定スポーツデンタルハイジニスト

一般社団法人の日本スポーツ歯科医学会による制度が、認定スポーツデンタルハイジニストです。スポーツ選手やスポーツ愛好家に対し、口腔衛生の指導・管理などを行う能力があるという証明になります。

認定を受けるためには、学会学術大会の研修を受けたり、学会に入会したりする必要があります。その他にもある細かな条件をクリアしたうえで、書類審査・筆記試験に合格すると、認定を受けることができます。

歯科衛生士になるには

歯科衛生士になるには、こちらの名古屋医専などの専門学校や、今後開学予定の専門職大学などの指定された機関で学び、国家試験への受験資格を得て、その試験に合格しなくてはいけません。近年では、人々の健康志向の高まりとともに食べる力、生きる力をサポートする歯科衛生士への期待が集まっています。実際に働き始めるには時間も費用もかかりますが、人々の健康を支える非常にやりがいのある仕事といえるでしょう。チャレンジしてみてはいかがでしょうか。